十一月に入って、久しぶりに二人の友人に会った。
Aさんとは、私達二人の、誕生日のお祝いを兼ねてホテルで食事をした。私達は四十年近い付き合いだが、いつの間にか生きる方向が違ってきて、最近会うチャンスが無くなっていた。
その日も、一歳年上でテニスに明け暮れているAさんは元気そのものだった。そして自分の幸せをアピールするかのように得々として、夫、娘、息子、孫たちのことをしゃべり続けた。
さて食事をすませて会計の折り、彼女「私がカードで払うわ」と言った。ところが「暗証番号をお願いします」との言葉に、「あ、覚えてないわ。うーん、なんだったかな?忘れたわ」すると、「それではお名前をお願いします」と言うことで一件落着となった。
私はカードは嫌いなのでふだんは持ち歩かないし、現金払いである。もしかして彼女、私に格好良いとこ見せたかったのかなあ?
食事のあと、彼女地下のショップを見たいと言いだした。私は多分買わないだろうなあ、と思ったがやはりその通りだった。
あちこちの店を出たり入ったり試着してみたりしていた彼女、「あ、やっぱりいいわ。タンスにいっぱい入ってるから辞めとこう」と言った。
店員はあれこれサービスしてるのに気の毒だなあ。肩を持つわけじゃないけど、こんな客ばかりだったら楽じゃないなあ、と思ってしまった。
そんなAさんを見ていてちょっぴりガッカリしてしまった私である。
Bさんとは、十一月四日東京オペラシティでのコンサートであった。以前通っていたダンス教室で知りあって二十年くらいになるだろうか。私より五歳年上の彼女はさっぱりした性格で物事の割り切りが早く、頼りになる友人である。
ところが三ヶ月ぶりに会ったその日は、何か元気がなく、いつもおしゃれな彼女なのに「あら?何か違うな」と私は感じていた。食事の折り、あれこれ話をしているうちに彼女がこう言った。
「年を取るってきついわよ。気候の変化に合わせるのが大変よ。それに最近外出するのもおっくうになってきたわ」
彼女から急にこんな言葉を聞くとは思わなかった。彼女とは何回も旅行にも行ったし、食事やコンサートにも何度も出かけた。本当に楽しい想い出が沢山あるのだ。
察するに、年を重ねて気力、体力が減退し自信を維持することが大変になってきたのだろうか。私は別れる時、思わずこう言った。
「お元気でね。またお会いしましょう」 「そうね。暖かくなったらまた会いましょう」と言って、彼女はそそくさと電車を降りていった。私はそんな彼女の背中に、ふと老いの淋しさを見たような気がして悲しかった。
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