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no.88
格差社会に思う
 先日、雛祭り「虎屋の雛人形と雛道具」を見に根津美術館に出かけた。

 その帰り、ふとひらめいた。そうだ、ここまで来たらオープンしたばかりの「表参道ヒルズ」を一目見たいなと。

 天気も良くさっそくタクシーに乗ったが、少し渋滞していたのが良かった。若い気さくなおしゃべりの運転手さんの説明入りで車はユックリ進んだ。久しぶりの表参道は目新しい奇抜なビルがいくつも目に入ったが、海外の有名なブランドの店だそうだ。

 私など足を踏み入れたこともないブランドの店の数々。ここに存在しているということは、それだけでスタータスなのだそうだ。需要があるから成り立つのだろうが、私はふと、「格差社会」という言葉が頭に浮かんだ。

 チラッと立ち読みした雑誌によると、若者の格差の実体にはさまざまな議論があるようだ。察するに、正社員になれなかった世代がフリーターやニートになり、不利な状況のまま年を重ねている現状にあるらしい。そんな彼らは当然生活水準が低く、正社員との格差が大きくなってくる。生涯賃金の差は二億円にもなるとテレビの報道で聞いた。

 生活水準が低くても自分が好きなことをやって満足しているならそれも自由だが、三十代になると将来の展望も開けず生活の満足度も低くなってくるという。結果、結婚もままならず、たとえ結婚しても子供を育てることが出来ず少子化につながるのが現実のようだ。

 最近、盛んに「格差社会」が議論されているが、一番の原因は雇用環境にあるという。企業側の採用やさまざまな条件がきびしく、社会に出ようとしても個人の望むような職業につくことは至難の現実だ。

 一方、自分探しや好きなこと探しと仕事をしないことの言い訳にしている若者も多いらしい。でもそんな彼らの表情は無気力で見ていて頼りなく痛々しくさえ思う。親はいつまでも生きていない。それを考えたら悩むのも程々にして、何でも良いから働いてみることだ。体を動かして汗を流せば食欲も出てくるし、顔に正気が戻ってくるのではないだろうか。そしてきっと新しい出会いもあると思う。勇気を持って社会に飛びだして欲しい。

 折しも商業地の公示価格が十五年ぶりに上昇したと報じられている。特に丸ノ内、六本木、表参道、神宮前辺りが大幅に上昇したそうだ。表参道ヒルズや六本木ヒルズ、銀座辺りを生活の場としている人たちは、就職も出来ず下流に甘んじている若者らのことなど思いも及ばないことだろう。

 でも彼らは時代の犠牲者でもあるのだ。格差社会に耐えている若者たちの雇用をもっと真剣に考えてもらいたいものだ。


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